時の話題 「速いと言うがね」
イギリスの作家で貧しい民の生活を描いた小説「当世グラブ街」を著したジョージ・ロバート・ギッシングは「時が経つのが速いと思うのは人生というものが分かってきたからだ」という名言を残している。年を取ると「一日過ぎるのが速いよね」と我々がよく言う言葉の本質を表した言葉として頭に刻み込んでいる。
ギッシングの言葉を逆説すると、人生経験が浅い者は時間が余るほどあり、ただ無為な時を過ごしていると解釈できないではないが一時間60分、一日24時間、一年365日は等分に与えられているので、この言葉の真意は時間を有効に使いなさいということか。
オギャアと赤ん坊として生まれ小学・中学生と成長するにつれ人間はやれ勉強だ、部活だなどと忙しくなる。社会に出ても時間に縛られ自分の好きな領域つまり趣味とかが疎かになりがちになる。
生きるため、食べるためには致し方ないと言えど金銭というのが人生の肝所を占めるようになってしまう。
子どもの頃のよう〝夢見る夢男(子)であれば、その想像の世界に浸り時間が長いように感じるも、生きるためとはいえ仕事に拘束されるようになれば時の速さを感じるのは自然であろうか。
時の流れを速く感じれば一日・一月・一年を短く感じるのは言ってみれば当り前のことであり、人生というものが分かってきた証左というのは言い得て妙である。
個人的なことでもその速さは加速度化しており1週間はアッという間に過ぎるが体への負荷は大きく大変な思いをしている。