時の話題 「役人天国」
日本の役人天国は今もって変わらない。地方に行けば行くほど強まり、一般市民は「あそこの家は公務員だから」と言って職業に貴賤無しという格言をも否定し認めてしまう。
それが良いのか悪いのかは別にし「官は民の上座にいる」という土壌ができている。明治以降、否、武士の時代だった江戸、室町、鎌倉時代、そしてその前も同じだった。歴史の積み重ねで出来た宿痾みたいなものだと思っている。
長年、市職員として奉職し副市長、その後稚内市長まで英達した工藤広氏は官の代表者のような趣きがあり下々の事を知っているのか―と問えば甚だ疑わしい。
役所の事を熟知しているが故に安定した市政を実行してきたのは間違いないが、〝官〟の域を出ない。であれば民間の人達の言う事を聞けばいいと思うも市長だけに普段接する人も稚内では上等会社のトップとなり庶民の事は余り御存知ないようである。
役人天国とも言える日本の実情は地方ほど顕著で地方自治体のトップのほとんどは役所出身者で占められ、町の有力者が支持し選挙で当選し眥を決することなく平々凡々な政治をする傾向がある。
4月23日投票の稚内市長選には今のところ4選めざす工藤広氏以外に立候補する動きはなく無投票になる可能性が極めて高い。投票なしの信認の是非は敢えて指摘するまでもなく良いものとは言えまい。
工藤氏だって無投票では12年間の市政の評価が分からずじまいだろうし、対抗馬が出るのを待ち望んでいるに違いない。