時の話題 「有為転変の時代に」

 稚内信金の増田雅俊理事長の9月末での退任は寝耳に水の出来事で正直驚いている。稚内信金にとって中興の祖として経営力、人望とも抜きん出た存在だった井須孝誠氏の後任として2006年6月理事長に就任し20年間在任した増田氏が資本支援の経営責任を取り辞任することになったのは筆者にしても衝撃的なことであった。
 増田氏は北大卒業し信金に入庫し将来の理事長候補と言われた。東支店長の時には、はまなす地区でのホームセンター開業などあり頭角を現し予想どおりトップに上り詰めた。
 小紙正月号のインタビューで年に1回、2時間近く取材する中、金融トップとして才覚を認める一方、優しい人柄で写真を撮ろうとすると笑顔を作るなど気配りの人であった。
 稚内信金として札幌旭川にも支店を作ったが、営業エリアは稚内を中心とする宗谷管内で新興の企業でも公の場でPRしたのが増田氏であった。
 水産業を主体とする管内の経営基盤が劇的な変化を見せない状況にあって貸出先の縮小が足かせになり、その結果として安定資産とされる国債購入に傾斜したのは至って当たり前の対処策と思料するものの、北海道信用金庫協会会長(国では副会長)の要職に就いていたことから200億円もの資本支援を受けることには経営責任を明確化しなければならないと自ら出処進退を決めたのであろう。
 後任には田辺浩専務理事が就く。ナンバー2で順当な人事と言えるが、実力のほどは未知数であり、田辺氏の後任には志摩隆宏常務理事が昇格する。有為無常の時代になった。