断腸な思いで離港 勝宝丸 礼文沖向かうも漁皆無

10月上旬から稚内港に停泊していた八雲町のイカ釣り漁船第27勝宝丸が道による調査目的での漁で11日夕方から礼文沖などで漁を行ったが、水揚げ無く今季の漁を終えた。船長は「4時間ほど粘ったが、1匹も釣れなかった。2、3日中には稚内を離れる」と悔しさをにじませていた。
本州の山口県沖で漁を経て今季は10月3日稚内港入りし秋の戻りイカ漁に備えていた勝宝丸だったが、スルメイカの小型船釣り漁を巡りTAC(漁獲可能量)の漁獲枠4900㌧を超えたとして、水産庁が今月1日から漁の停止を命じたことから、出漁できずにいた。
その後、小型船による釣り漁ができない問題で北海道は道内沖合で約400㌧に限り、調査目的で漁をすることを認め、10日から漁が再開となったことを受け、勝宝丸は11日正午前、稚内港を出港し漁場に着いた午後4時から操漁したが、午後8時過ぎまで水揚げ無く終わり、深夜に稚内港に戻った。
12日朝、船長は「去年の今時期なら戻りイカがいて、それなりの水揚げがあったが、今年は全くいなかった」と話し、今回の国のTAC制度について「イカ釣りを仕事としているのにそれを奪われたのは悔しい」と語り、「稚内を離れてからは石狩沖で少し漁をしたい。また来年、稚内に戻ってこれれば」と本紙の取材に答えていた。

