読者コーナー
統計資料を読んでいくと、これからの日本社会において看過できない懸念材料がある。それは年金問題だ。今の高齢者世代は非正規雇用という雇用形態を知らない世代だ。私のような中年世代だと、超がつく就職氷河期を経験している。つまり非正規雇用の労働者が多い世代だ。共済年金や厚生年金を満期で納めている人の数が多くないことが想定される。そうした人たちが高齢化すると、もらえる年金で生活するのは難しくなるだろう。無年金の人も出てくると生活保護の申請が多発し、ただでさえ、国家財政は1人で1人を支える肩車社会が到来すると言われている現状において、ひっ迫状況はさらに苦しくなる。政府が高齢者雇用安定法で70歳までの雇用を確保しようとするのはそのためである。また国民に投資をしましょうと呼びかけているのは、平均寿命が延びることより、国民生活を税金ではまかないきれない状況を鑑みたうえであるのだろうと考える。ただ、金融・財政史をさかのぼると、バブル経済の崩壊の原因は、国の政策の失敗である。したがって、責任を持った政策遂行のあり方が国政には求められる。(江別市・伊藤康生)