斉藤氏 国境の魅力を語る 写真集出版記念し講話
今年春に国境の旅をテーマに写真集「ボーダーツーリズムの記録1997~2022」を出版した写真家の斉藤マサヨシさん(68)が2日午後、樺太記念館で出版記念トークイベントを開き、宗谷海峡など国境の魅力について語った。
北海道大学出版会(札幌)から出版された斉藤さんの写真集は、97年から25年間に亘って稚内、サハリン、中国、根室、礼文など20地域の国境の街などを撮影したもの。「端っこから始まる旅の魅力を語る」と題したトークイベントで、工藤市長や中田商工会議所会頭、一般市民ら30人余りを前に、北大スラブ・ユーラシア研究センターの岩下明裕教授(61)がサハリンに23回行った経験を持ち、国境地域の歴史などに詳しい斉藤さんを「地域の宝である」と紹介した。
斉藤さんは日本から肉眼で国境が見える地域はサハリンが見える稚内、韓国・釜山と約50㌔離れている長崎県対馬市、台湾と約110㌔の距離にある沖縄県・与那国島の3カ所しかないこと、国境地域は戦争の最前線だった歴史や文化が行き交う場所だったことを紹介する中、稚内とサハリンの間の宗谷海峡に触れ「この海峡は米国などの潜水艦が20隻以上も沈没しており歴史を感じる場所であり早い潮流によりタコやホタテが採れる上に風が強く物凄くポテンシャルを持っている地域」などと熱く語っていた。
1時間余りのトークが終わったあと、岩下教授から感想を聞かれた工藤市長は先月訪問したベトナムの話題などに触れながら「国境地域は多くの文化が共生している。ボーダー(国境)での新しい付き合い方など次の世代に繋げていくために勉強させて頂き貴重な時間となりました」などと述べていた。