時の話題 「市庁舎建設着工」

 稚内市役所新庁舎建設工事の安全を祈る神事が執り行われた。50年ぶりの庁舎建築には市長は感慨深いものがあるのだろう。「街の未来を照らす道標となる素晴らしい庁舎になるでしょう」と言い思い入れがかなり強い。
 北見の市役所建設で紆余曲折があり当時の市長が思い悩んだ末に自死するといった事態が起きるほど揉めることがある。稚内もすんなり進まず、大方の市民が現庁舎の前庭に建設すると思っていたものの、突如、郵便局側に移し建てることになったものだから用地補償などで5億円もの別途費用が増えるとし物議を呼び、加えて土石流発生危険地域に当たる(これは以前から指摘)とし市長個人に損害賠償を訴える民事訴訟が起こされ、今春あった市長選でも争点の一部となった移転改築問題は、この12年間、市政を司った工藤氏個人への信頼もあり議会が建築に対しゴーサインの議決を行った経緯があった。
 現庁舎の前でも横でも建築するには問題がある。工事の重機や車両が行き交うので事故が起きる可能性があるので選択肢として適切でない。とすれば現庁舎から余り離れない場所に決めたのも頷けるであろう。
 市民に要らぬ疑心暗鬼を招いたのは市長の説明不足も一因だ。指摘した事故が起きる可能性を議会でも記者会見でも述べれば事足りたはずである。「私を信じてついてくればいい」式では今の時代にそぐわず一言述べれば事は済んだであろう。
 事業費70億円という稚内にとってビッグプロジェクトが始まる。事故なく無事完成すること願っている。