稚内機船漁協が発足50年史刊行 沖底漁業の歴史綴る
稚内機船漁協は、昨年9月1日に組合創立50周年を迎えたことを記念し50年史を上梓し関係機関などに配付した。
A4判203頁からなる記念誌の表紙は沖合底曳き船の雄姿で、往時の魚が大量に水揚げされた様子、一時56隻あったが、今は5隻に減った沖底漁船の第172榮寶丸(オッター船)、第71永伸丸、第28大忠丸、第7やまさん丸、第88日東丸(以上かけ廻し船)の写真が冒頭を飾る。
瀬戸常蔵氏、吉田政一氏に続いて第3代代表理事組合長の風無成一氏、工藤市長、吉田道議の挨拶に続き①生産体制の変遷(平成時代の稚内沖底)②稚内の沖底漁業の特徴と操業条件③沖底漁業を巡る漁政課題と取り組み④稚内機船漁協の経営と財務の推移⑤加工など特色ある事業の推移が綴られ、「稚内沖底船こぼれ話」として最盛期に沖底船の漁労長を務めた中沢和一さん(74)の実際にあった貴重な話も掲載、組合員名簿、組合の沿革・歩み(年表)なども転載されている。
風無組合長は発刊に当たって昭和47年、稚内、宗谷両機船漁協が合併し発足した歴史を振り返る中、戦後の稚内港は底曳き網漁業はじめ百数隻の漁船がある一大基地だったとし「度重なる国内外の圧力にあっても不屈の精神で生き残りをかけてきた先輩漁業者らの苦渋と知恵によって現在があり……今後も気象の変化と資源の減少など危機的状況にありますが、次世代のため努力して行く所存です」との言葉が載せられている。
記念誌編さん責任者の葛西英裕専務理事は「この50年は組合にとって激動の歴史であり、これからも地球温暖化・海洋環境変化など漁業の経営環境の厳しさは続くでしょうがこれまで難局を乗り越えたよう英知と努力によって将来に亘って持続的な漁業が叶うよう更なる躍進を祈念しております」と編集後記に認めている。