存続負担今年度限りで終了 抜海駅存廃住民説明会「断腸な思いの決断」と市長
稚内市は19日午後、抜海町内会館でJR抜海駅に関する住民説明会を開いた。初めて住民との直接対話に臨んだ工藤市長が市の負担での駅の維持を今年度限りで終了する方針を伝えたが、住民は観光など利用での駅存続を訴え議論は平行線を辿った。
説明会には抜海町内会から森寛泰会長ら10人が出席した。利用者減でJR北海道が廃止の方針を示している抜海駅について、稚内市が令和3年度から2年間負担した維持管理費(年間100万円)を来年度以降、負担しないことについて工藤市長は「5、10年先を考えた時に高齢者の足を守るために交通の見直しは避けて通れない。バスやタクシーなど持続可能な交通体系での維持を考えていくことが我々の役割。2年間時間をかけたが、利用者数が変わらない中で市の公費を投入して駅を維持していくのは難しい。断腸の思いだが、維持費を負担し続けるのは市民に説明がつかない。理解をして頂きたい」などと市の考えを説明した。
住民からは「抜海駅は道外からも多くの鉄道ファンが訪れている。観光資源として何とか存続させる方法はないか」「稚内の観光にも抜海駅は貢献していると思う。なんとか残してほしい」などと市の方針に対して反対姿勢を示した。
森会長は2024年の抜海駅開業100周年に向けて駅の存続、廃駅した場合の民宿経営者への補償などを求める要望書を提出した。
市は23日にクトネベツ町内会への住民説明会後、最終判断を両町内会に伝えた上で、8月上旬までにはJR側に稚内市としての方針を示す。