時の話題 「経済音痴の政策」

 今年も早いもので残り1カ月となった。コロナ禍から2年以上経ち、目に見えぬウイルスへの恐怖は鎮まってはいるが、目にはっきりと見える物価高騰や自然災害には諦めにも似た感情が表出してくる。ウクライナやガザ地区の戦渦は和平に向かいつつあるものの確固たるものでなく、随分住みにくい地球になったものだとの感慨に至っている。
 煮え切らない石破内閣から高市政権になったのはいいが、市井の出である彼女は物言いの率直さは感じるも手練手管というのか老練さが希薄だ。一国のトップというのは狡猾さも必要で「嘘をつかない」「正直に」を生き方の指標とする市井の家庭の方針では務まらない。
 師とする安倍元総理の遣り方を踏襲するには育ち方が違い過ぎる。祖父(岸信介)、大叔父(佐藤栄作)、そして総理直前にして亡くなった父(安倍晋太郎)の系譜の政治家一族にあった安倍晋三氏とは別世界の一般家庭で育った高市早苗氏は、松下政経塾を経て政治家になったものの、どう足掻いたとて無理がある。
 更に円安基調の為替レートに当たって積極財政の補正予算を組んだとはいえ物価高に苦しむ国民を助けることはできない。何故かと言うと今般の物価高は海外からの輸入が円安によって金額が膨らんでいるからで、高市氏の総理就任以降、円安が10円ほど進展している為替レート安がベースにある。
 であるから積極財政政策を施しても円安が続く限り相殺され、更なる物価高に国民が苦しめられる可能性がある。経済音痴だ。