時の話題 「市役所新庁舎」
我々マスコミでさえ思い入れが強いのだから工藤市長のそれは格別であろう。副市長までの37年間、市長として14年間、都合50年以上も身を粉にして働いてきた旧庁舎なのだから。
筆者が6、7年前、小紙正月号でインタビューした際、市長は新庁舎建設には前向きでなかった。それから数年経つうちに前向きになったのは地震や大きな自然災害がこの間、日本各地で頻発したからなのであろう。財政規律派の市長が建て替えに転じたのは旧庁舎の耐震基準が足りないとする専門業者による数値データが心変わりさせた要因だったのであるまいか。その後の改築に向けての動きは早かった。
この14年間、市長として市民に寄り添う姿勢を堅持し、できるだけ支出を抑えてきたのは次代の人達にツケを回さず市民が安心し暮らせる街づくりに腐心した結果であり、築50年以上経ったといえ頑丈な造り(見た目の話だが)なので自らの市長在任中の改築は考えていなかったのではと推察される。
しかし耐震強度が足りなく地震で倒壊する恐れもあり何か不測の事態が起きた場合、市役所の機能を十分に発揮できないことも考慮したのだろう。それと次の市長に大きな支出=借金を負わせることなく「やるならば自分の手で」との思いも強かったのでないか。
昨13日の新庁舎見学会では自らが説明役になった。自らの置き土産に市民の思いや意見を確かめたかったのでないのか。
工藤氏の後継者と目される人達の頼りなさもあり「もう一期」という声もある。


