時の話題 「日進月歩に溜息」
きょうの常識があすは通らない。日進月歩で変わる世の中に官庁も民間も振り回されている。
一つ我が社の例を挙げよう。筆者が入社した頃は活版印刷で、それまで30数年続いていた。写植に変わりパソコンによる紙面づくりとなった。印刷機も製版機もコンピューターで制御され、ほぼ自動というのかAI(人工知能)で作られ読者の皆さんに届けられる。
活版印刷時には体じゅうインクまみれになり〝汚い職場〟の一つだったが、極端な物言いをすればスーツ姿でも全ての工程ができるようになった。
ICT(情報通信技術)の発展は半端でなく、そのうち記者が必要でないほど一口囁くと記事が出来上がってしまうほどに進化している。
他の業種のことは知らねど多かれ少なかれ情報技術の影響にありこれまでの経営が通用しなくなっているのに違いない。
昔はニシン漁でもコンブ漁でも、はたまた豆腐を作るのにも多くの人手がおり熟練の技も必要としたが、現代はボタン一つで何もかも作られ人手がなくても作業が進み完成品ができてしまう。
〝ガラパゴス化人間〟の筆者はスマホ操作するにも四苦八苦し、現実、小欄の原稿はマス目がある用紙に書いている。
いいか悪いかは別にし一人々々の力がそれほど要らなくなった製作、製造工程ではあるが、マンパワーは何時の時代でも必要なのは疑いがない。省力化にも限界があり要所は人間がやらなければならない。現役としての最後が近づくにつれ溜息をつくばかりだ。


