時の話題 「お盆迎えて」

 お盆になると墓参りするのが日本人の伝統行事であり筆者も自らの家と妻の家の墓参りをする。お盆にあの世からやって来る先祖の霊に手を合わせ線香をあげているのだが、つい数年前までは何の悩みもなく当然のようやってきたものの、自らも年を取り何歳までできるのかと心配している。
 幸い息子が二人おり家としての弔いは継承してくれるものと思っていたが、身近にいる次男の言動を聞いていると「怪しいな」と最近感じているというのが正直な気持ちだ。
 家で代々引き継がれてきた墓参りではあるが少子化も相俟って子ども達の負担も増えてしまい、かつ経済的余裕がなければ出来やしない。親が亡くなっても葬儀をあげず放置し検挙される事例も少なくなく、ましてや盆の墓参り、法事とて先立つ物はお金である。この世にいない親族を弔うより今生きている方が先決だという事になっても責められまい。
 若い時分は年中行事の一つだとの考えでやっていたが、あの世に行く準備期間が短くなるにつれ墓参りへの思い入れが強くなっているのは確かで、息子達が引き継ごうが継ぐまいが、自分が死んだあとの事なので、好きなようにすればいい―と開き直ってきている。
 人口減少局面に入り伝統を引き継ぐのが難しい時代になった。経済的格差が広がっている今だからこそ共同墓含め永代供養も考えねばならない。家柄がある家こそ「先祖を疎んじることはできない」とのようだが、時代が変われば人も変わる。これまでの常識が通用しない社会に合わせるしかないのかね。