時の話題 「戦国場所」

 大相撲名古屋場所が終盤を迎え賜杯の行方が混沌としている。
 荒れる場所の主役は新横綱の大の里だろう。序盤こそ4勝1敗と順調だったが、10日目までの中盤で伯桜鵬と玉鷲に敗れ3敗を喫し、11日の霧島戦はやっとの思いで勝ち、きのうの一山本戦は物言い後の取り直しで白星を拾った。中盤以降の取口を見ていると、とてもじゃないが優勝筆頭には推せない。
 昨日まででトップを走るのは平幕の安青錦(前頭筆頭)、琴勝峰(同15枚目)の2人で3敗で大の里、一山本と熱海富士、草野の4力士が追う。60年以上の相撲ファンである筆者が予想するに、2敗のどちらかが優勝するのではないのか。
 昔も今も番狂わせはあるが、最近の役力士の腑甲斐無さは横綱豊昇龍、大関琴櫻に代表されるように協会の昇進判断が間違っていたのかと思うほど弱い。豊昇龍の昇格は1場所見送るべきだった。
 下の力士が活躍する場所を戦国場所と言うが、幕内力士の上位と下位の力は昔に比べれば縮まり下位力士が上位力士を食うのは珍しいことでなくなった。
 番付どおり横綱、大関が盤石な強さを見せる大相撲に戻ってほしいものだが、好角家としては下の者が上を負かすのはすっきりするもので、そういう意味では参院選での自民党敗北はすっきりし不快感を吹き飛ばした国民が多かったであろう。
 新横綱になり色々な行事、接待攻勢により稽古が出来なかったとはいえ大の里は油断をすると下の者に食われること肝に銘じ、琴櫻には地位を守ることに汲々とせず更なる上を目指してほしい。