津波死者数 最多4000人 道発表 日本海地震被害予想
道による日本海沿岸の地震・津波被害想定が3日公表され、稚内は夏の昼間に被害が最も深刻な場合で津波による死者数は4000人にのぼると道内で最多だった。
地震の発生により想定される最大クラスの津波などで生じる具体的な被害を算出し地域の防災対策の立案などに活用してもらおうと作成されたもので、稚内〜松前町までの日本海沿岸の33市町村を対象に夏の昼間▽冬の夕方▽冬の深夜の地震の発生を想定し津波、建物崩壊などの死者数、負傷者数など被害想定しまとめた。
稚内では北海道北西沖でマグニチュード7・8程度の地震が発生した場合の最大津波高は12㍍。夏場の昼間に避難を開始するまでに10分を要する最悪のケースで死者数は4000人、5分で避難を開始した場合でも1800人となり、建物倒壊に伴う死者は70人になると予想されている。冬の夕方・深夜とも津波による死者数の予想は最大2600人。
建物の全壊棟数は、夏は3700棟、冬場では積雪により8200棟の倒壊が予想されている。
日本海が目の前に広がる富士見地区に福祉施設を構える稚内市社会福祉事業団の満保常務理事は「死者数や津波到達時間など驚くことは多いが、日頃から行っている防災訓練など通して減災力を高めたい。利用者さんや職員の安全を守るべく出来ることをやっていくしかない」などと話していた。
道では、最大クラスの被害想定を公表することで、市町村が防災対策に取り組む参考にし、住民は避難意識を高めるなどそれぞれの対策で減災に努めてもらいたいとしている。
「公表受け市長がコメント」
工藤市長は「確かに被害想定として大きな数字ではあるが、この数字は、今後30年以内における発生確率0・006~0・1%程度を想定したものであることから、その数字だけをもって市民が過度に不安を抱かぬよう説明していかなければならないと考えている。これまでも市民の命を守るために全力を挙げて取り組んできているが、これからも国や北海道としっかり連携しオール北海道で防災・減災の取り組みを推進していく必要があると受け止めている。
減災のためには、早期避難の有効性が示されているが、市はこれまでに、防災ラジオの全戸配布や住民向けの防災講話、1日防災学校、各種イベントでの防災ブース開設等、あらゆる場を通じ減災に繋がる啓発活動を積極的に行ってきたが、引き続き、今まで以上にこれらの取り組みを加速させるよう指示している。また、避難所避難者に対する備蓄品を増やすことも当然考えなければならないことから、その検討を進めて行くよう指示したところです」とコメントした。


