物価高、関税など問題多く 商工リサーチ支店 道北の昨年度倒産集計
東京商工リサーチ旭川支店は、2024年度の道北地方での企業倒産状況をまとめた。
奈井江以北で負債額1千万円以上の倒産は31件(前年度33)で負債総額63億2812万円(同41億7575万円)。この10年間で15年の49件、23年の33件に次ぎ3番目だった。負債総額は4番目。
地域別では旭川市が最も多く13件(同22)上川管内10件(同2)北・中空知管内5件(同6)、留萌管内2件(同2)、宗谷管内1件(同1)。業種別ではサービス13件(同7)、卸小売7件(同13)、建設5件(同7)
製造3件(同3)などだった。
8割の25件は販売不振によるもので、負債額5千万未満が15件(同16)と多く、1億以上8件(同9)、5千万以上7件(同6)で10億円以上も1件(同0)あった。
昨年度の全道の倒産は271件(同269)、負債総額421億4500万円(同298億1600万円)と3年連続し増加した。
271件中、120件が新型コロナウイルス関連倒産だが前年度を7件下回った。
10億円を超える大型倒産は北海道バイオマスエネルギー(下川町39億6200万円)▽アサヒ調剤薬局(函館市29億円)▽藤丸(帯広市25億4000万円)の3件。札幌市が129件で全体の5割近くを占めた。
同支店は今後の見通しについて、物価高や人件費の上昇などコストアップを価格に転嫁できない企業の経営が厳しい状況にあり、本来、賃上げと価格転嫁は一体の関係にあるが、賃上げ原資を確保できずに人手不足が深刻化する悪循環に陥っている。
政策金利の追加利上げは、業績悪化を借入金等で凌いできた企業にとって更なる負担になるのは必至で、米国の関税引き上げなど経済を取り巻く状況によって国内産業への影響も危惧される。
これら複合的な問題を抱え業績回復が遅れて資金面で余裕のない企業の息切れが予想され、倒産が増加する可能性があるとしている。

