時の話題 「春闘始まる」
春闘が日本経済をけん引する自動車産業から始まった。昨年の春闘で勝ち取った大幅な賃上げを実現しようと労働組合は血気盛んなようだが、トランプ米大統領の自動車輸入に課税しようとする関税問題が浮上する中、労組の要求通りすんなり行くとは限らず不透明な状況にある。
〝失われた30年〟によってもたらされたのは終身雇用制を後退させる非正規雇用と大企業を中心にした内部留保(貯金)の拡大で、ケチケチ雇用に徹し儲けが出たにも拘らず経営者側は雇用者への給料を上げず富の分配をしなかったことだ。
大企業だけでなく日本の隅々まで守銭奴的経営は広がり、稚内に目を移してみても労働対価である給料は低く抑えられてきた。年功による給料アップは知れており若者の給料も抑えられ、その結果が「こんな職場に居ても将来は見込めない」という諦念ゆえの地方流出を許したというのが稚内の労使関係、つまり就業形態でなかったのであるまいか。
手取りが低くても土地が安いので家を建てることができ家族数人は養えるという事情もあったろうが、いかにも安過ぎたというのが稚内の給料体系でなかったのか。東京帰りの筆者が東京時代の最後の給料に追い付くのに10年かかった。いみじくも物語っている。
故郷はほんのり温かいだけでは今の若者は定着しない。先立つお金が少なければ長く勤めようとせず、その結果として今の人手不足の一因をつくったのであるまいか。結婚し子どもをつくり家を建て幸せな家庭をつくるには先立つものが少なければ実現しない。

