人と企業輝く地域創造 商工会議所 きのう新春経済懇談会開く
稚内商工会議所主催の新春経済懇談会が15日午後、サフィールホテル稚内で開かれ、工藤市長、中田会頭はじめ各界代表者が新年の抱負と稚内発展への思いを語った。
出席した150人余りを前に、主催者を代表し中田会頭は昨年1年間について、ロシアによるウクライナ侵攻や中東紛争の長期化、物価やエネルギー価格の高騰、人出不足などについて振り返った上で経営環境が極めて厳しい中で地域経済を支えてきた会員事業者に敬意を表し「経営者の皆さんが将来を見据えて事業と雇用を維持、拡大できるよう経営支援の取組みを進めて参る所存」と述べた。
社会資本整備に関し高規格縦貫自動車道、冬季就航率を改善する稚内空港横風対策滑走路新設などの早期実現に向けた要望。観光では稚内市はじめ利礼3町の観光振興の舵取り役を担う「きた・北海道DMO」の事業推進、脱炭素では新電力会社「北風と太陽エナジー」による再生可能エネルギーの地産地消に向けた取組みなどで地元経済に大きく貢献することを期待し「足元の急激な環境変化の中、中小企業、小規模事業者の皆様と信頼関係を更に深め、会員企業の未来志向への自己変革を伴走型でしっかりと支援し、人と企業が輝く地域の創造に邁進する所存です」と述べた。
続いて悪天候で出席叶わなかった武部衆議がビデオメッセージで「冬の厳しい環境下の宗谷の安心安全な暮らしを守るためにも道路などインフル整備に取り組むことが重要。物価高を上回る賃上げできる環境を整えることが重要であり地域が元気になる政策を展開して参ります」、工藤市長は増加するエゾシカ、地球温暖化や人口減少問題に触れた上で「地域が明るく賑やかになるよう手を緩めることなく取組み、秋に供用開始する市役所新庁舎を起爆剤にこのマチの活性化に力を入れたい」とした。
続いて林憲裕稚内開建部長が「宗谷地域の強みである水産・酪農業、観光業、再生可能エネルギーなどを下支えするインフル整備などで貢献していきたい」、清水目剛宗谷総合振興局長は人口減少解決に向け「若い世代への仕事や魅力を紹介する機会を作りたい」などと年頭に当たって挨拶をした。
「DMO核の持続的観光 特別講演 道運輸局観光部の山崎次長」
続いて中場きた・北海道DMO代表理事(稚内観光協会長)が従前の観光協会の事業が事業者視点であるのに対し、DMO事業は顧客(観光客)視点にあるなどとの話をし、北海道運輸局観光部次長の山崎貴志氏の特別講演(演題・持続可能な観光によるまちづくり)に入った。
山崎氏は、日本はフランスと並ぶ観光先進国の可能性があり何故かというと「気候」「自然」「食」「文化」の4つの要素が全て備わっているとし、人口減少・少子高齢化が進展する中、国内外からの交流人口の拡大と旅行消費によって地域の活力を維持し社会を発展させると説いた。
11月末での昨年の累計訪日外国人旅行者は3338万人と2019年を上回り過去最多となり、その消費額は5・9兆円(9月末)と過去最高と更新。横這い状態が続く国内旅行に対し拡大傾向が顕著だとしていた。
新千歳空港発着のLCC(格安航空会社)での海外旅行者は道央を主体に足を運び宗谷など遠方に来ない特徴があるとした一方、稚内や利礼両島には台湾、シンガポールに続き他の地域では低いタイが三番目に多く、離島人気なのか?と分析していた。
21~25年度の第4次観光立国推進基本計画で「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客推進」をキーワードにし国内の津々浦々への誘客がDMOを核として持続可能な観光地域づくりの要諦とし食文化や歴史・文化と体験観光が旅行者が求める付加価値化観光であることを説いた。
最終的には観光によって地域住民が幸せになることであり「旅行者が旅行することは旅行者の権利でなくデスティネーション(旅行先)からもらう恩恵であり幾つかの観光地でのオーバーツーリズム(観光公害)になることなく正しく旅行することが肝要」と話していた。