時の話題 「忠臣蔵」

 明14日は映画、テレビ、歌舞伎など舞台で廃れることのない赤穂浪士討ち入りの日である。赤穂藩の浅野内匠頭の吉良上野介への江戸城での刃傷沙汰に対し藩府は両人を喧嘩両成敗とせず内匠頭への切腹とお家断絶という不公平極まる裁きをしたことから家老大石内蔵助ら家臣47人が内匠頭の一周忌を過ぎた頃に仇討ちを決行したもので近世になっても年の瀬恒例の「忠臣蔵」として定着してきた。
 吉良から要求された賄を渡さず嫌がらせを受けていた浅野が思い余って刃傷に至ったと物語り化されているが、実のところは赤穂産の塩によって吉良家の塩は落ち目となった経済対立が刃傷沙汰の根っこにあったというのが真実のようである。
 赤穂の塩は現代でもつとに有名なので、江戸時代であれば藩財政を左右する産物だったことが窺えよう。
 そういう実状は兎も角、義憤に駆られ主君の仇討を成就した47士の正義は日本人好みの話であり、新年を控えた邪気払いの役割もあり国民は拍手喝采を贈っている。
 今では討入りの映画やテレビは激減してしまい滅多に上映・放送されなくなったが、日本人の琴線を大いに刺激したもので何度見ても日本人としての魂を揺さぶられる。
 人情に訴える芸能は今、極端に減っておりテレビや映画での時代劇の数は往時に比べ激減している。
 時代が変わったと言えば全て通ずるのだが日本人が古来から有する慈しみや憐憫の情、共助など見る影もないのが現代でないのか。文明の発展が人間を駄目にしている。