時の話題 「即物的でない観光」

 日曜日、小紙の記事に誘われサロベツ原野までエゾカンゾウを見に行った。湿原センターから木道を奥まで歩き数輪咲いているのを確認しカメラ(スマホ)に収めたが未だ時期早かったよう。しかしセンターを出発し日本海方面に向かう途中では群生していた。今週には見頃になるのでなかろうか。
 エゾカンゾウの代わりと言ったら何だが、木道エリアに白い花が可憐なイソツツジを見ることができた。緑一色の中で控えめに咲く小さな花びらの様子に我先にと突っ走って来た己の人生の愚かさと未熟さを知る。
 道内の他の町と比べると稚内の気温は低いが、今年は例年に比べ高めで植物の生長も早いよう。背が比較的高く紫や赤っぽい色合いが目を引くルピナスが市内各所に咲いており港5の川村大陸さん(故人)の事務所があった一角には数十本群生している。
 美瑛や富良野の丘陵地一面に咲き誇るラベンダーなど見る花巡り観光はコロナ禍の行動の規制解除もあって相当込み合っているに違いない。観光客にとって過ごしやすい気候の中でラベンダーなどの香りと色彩を楽しむ〝花観光〟の贅沢さに比べ当地は物足りないがアルメリアが咲き、ほんの短い間だがクロユリも咲き、天候に恵まれればそれなりに楽しむことも出来る。
 その先には〝白い道〟もある。
 日本のてっぺんにあるという好要件で観光地として発展してきた稚内だが、即物的過ぎよう。もうちょっとゆったりとし新たな観光を探るべき時に来ている。その芽が出つつあること歓迎したい。

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