時の話題 「東日本大震災⑵」
あれから12年経ち巨大津波に襲われた東北の町々は、以前より高い防潮堤を築き住宅地も高台に移され表向きは復興が着実に行われているようだが、家族や友人・知人を亡くした住民の心の傷は大きく復興というのには程遠い。
政府は数兆円の復興予算を投入し町並みが戻りつつあると自画自讃している向きも伝えられているが、住民の心の傷跡が癒えることはなく、現に新しい場所に街が形成されようが帰郷しない住民は少なくない。
震災後に移った土地で生活再建したこともあろうし、2度とあのような大津波を経験したくないとの心持もあるのだろう。政府の言うは易しの対極に住民の行うは難しがあるのだろう。
大津波の被害はこうむらなかったものの、福島第一原発の放射線洩れによって避難を強いられた町民の帰還は10年以上経っても難しい。高齢者の中には帰郷し最期の日を迎えたいという心情もあり帰宅している人がいると聞いているが、放射線が完全に無くならないのに帰っても商店も学校も働き口さえ無い町を見捨てざるを得ないのもよく判る。
地震国日本に住む以上、有事は起こって当然と、発生後の避難含めた対策がこの地震によって喚起されたのには違いないが、身近に起きなければ危機感は希薄になろう。
近くにサロベツ断層帯があるとはいえ稚内での大地震発生はない。しかしながら海が目の前にあり急傾斜地だって一部地域にはある。「災害なく良い所」と言うほど稚内の危機管理態勢は盤石でない。用心怠らぬ事だ。