時の話題 「拡大自死」
「死刑になりたかった」。8月20日夜、東京渋谷の路上で母娘2人を刃物で刺す事件を起こし逮捕された中学3年生の少女から、またしてもこのセリフが飛び出した。
自分の母と弟を殺すつもりで予行練習のため刺したとも供述したがそれと同時に冒頭のセリフも。
これまでも複数人を殺して死刑になりたかったと犯人から動機が語られるが、通り魔など一度に大量の人を殺害しようとする犯人は人生に失望している。
一般に犯罪者は犯罪を犯し逃げきることを考えるが、大量殺人者は逃げることを考えておらず、大勢の前で顔も隠さず堂々と犯行に及ぶ。
外国ではその場で射殺されることをいとわなかったり、一審判決で控訴せず死刑が確定するなど死を望む犯人が見受けられる。
これらは自分の人生を終わりにすると同時に、この失望する世界も終わらせたいのだろうが、これは周りを巻き込む「拡大自死」と呼ばれている。
大きく報道される自死、特に有名人の自死は、次の自死を誘発する。派手な事件は、模倣犯を生み通り魔事件など大きく報道される無差別殺人も、しばしば連鎖する。逮捕された容疑者が語る思いに共感する者が、我々が思う以上にいるということか。
今までもこのような犯罪に対して、SNSには非難する投稿が多数書き込まれている。凶悪犯罪だからといって、我々が安易に非難したりするのは、犯罪予備軍を刺激しかねない。
「死にたいなら一人で勝手に死ね」などとの発言は危険である。