時の話題 「待ち遠しい経口薬」
米国オレゴン州で開かれた世界陸上が幕を閉じ、連日テレビで目にするのは新型コロナウイルスの感染拡大のニュースばかりだ。
新型コロナウイルス対策としてワクチン接種を進めているが、3回目以降の接種でも今のオミクロン株には余り感染予防効果がないとの指摘がある。
そんな中、医療現場我々国民にとって「新たな武器」と期待するのが治療薬だ。
7月20日厚労省専門部会で審議された塩野義製薬の「ゾコーバ」は1日1回5日間の服用でウイルスの増殖を抑えるもので、国内初の治療薬として承認されるはずだった。
これまで国内では、2社の飲み薬が特例承認されているが、いずれも高齢者など重症化リスクがある人が対象で、1社は高血圧の薬と同時に使えず、誰でも使える特効薬は存在しない。
しかし、緊急承認制度で承認申請された今度の「ゾコーバ」は、重症化リスクに拘らずつまり軽症の段階で使え、国産のため安定的な生産及び供給も担保される。
治験は今年1月~2月に行われ、オミクロン株での臨床試験では体内のウイルス量の減少は確認できたが、疲労感や発熱など12症状の改善への具体的な効果が示されなかった。
加えて、胎児に影響が出る恐れがある。慢性疾患のある高齢者は服用できない。現在のBA・5に本当に効果があるのかとの指摘もあり、経口薬として承認を受ける要件を満たさないとして、継続審議となった。
治験を重ね11月に新たな結果を提出し判断される。一刻も早い国産治療薬が待たれる。