時の話題 「文学賞」
文士としての登竜門芥川賞と、既に作品を世に出し一流作家の道への一里塚になる直木賞が発表され、直木賞には本道出身(池田町)の西條奈加さん(56)が選ばれた。芥川賞の宇佐見りんさん(21)との年の差は35歳。文学の道に年は関係無しといったところか。
実は筆者も若い頃は作家希望で、そのためには何でも経験しなければと、大学生、社会人の10年間いた東京で色々な職業に就いた。
板前修業、バーなど水商売、建設関係など数多くの職業体験を通し人や社会への観察力を養い執筆に活かそうと思ったのだが、小説にするのはそう容易い事でなく、元々がギャンブル好きで世間の誘惑に弱いため挫折してしまい今日に至っている。
地方紙とはいえ今は毎日文章を書ける事に感謝するとともに記者現役の時は人と会い取材する面白さを味わいながら40年の月日が過ぎてしまった。
小説ばかりでなく役者や音楽家、漫才師など芸の道は険しく名が知れるようになるのはほんの一握りの人達だけで、才能も必要だが運に恵まれないと花開かないのも現実であり、そこが毎月お給料をもらうサラリーマンとは違うわけである。
個人的には新進の芥川賞作家の文章には付いていけないので直木賞受賞作品は読むようにしている。今は他に「本屋大賞」だの何賞だのと様々な賞があるので読書好きの方々には恵まれた時代といえようか。
先日、謝罪兼ね訪れた家の婦人に「文章って大事ですもね」と言われた。物書きだけにずしりと心に響く重たい言葉であった。