時の話題 「労災根絶に向け」
稚内労働基準監督署(労基署)から昨1年間の労働災害(休業4日以上)発生状況が発表され、総数90件と前年から11%の11件減少した。なかでも建設業が前年19件から60%近く減少し8件まで減ったことが特筆される。
コロナ禍という大変な1年の中、それまでの労災防止策に加え感染リスクを背負っての作業はどの業界も要らぬ神経を使い悪戦苦闘中であろう。
その中で件数が常に上位に名を連ねてきた建設業が半分未満に減少させたのは業界挙げての防止に向かった啓発と取組みが功を奏したのであろうし、文字通り監督する立場の労基署、そして建設協会共々安堵の新年を迎えたことと察せられる。
建設業は繁忙期を迎えると工期に間に合わせようと作業員に少々疲れがあろうと尻を叩き工期を順守しようとした傾向があったが、業界挙げて労災防止の対策を工事作業員一人々々に意識を浸透させた結果、労災を出しては本も子もなく業界としての信頼を失ってしまうとして、この数十年積み重ねてきた努力が実を結んだのだろう。
建設業と共に労災が多いとされる漁業や食料品製造業が昨年、14件(前年11)、18件(同10)と減るどころか増えている事からも建設業界の労災軽減への並々ならぬ決意が判ろうというものである。
昨年は前年1年間に比べ1割ほど減ったが事故の型として最も多い転倒(22件・25%占める)を減らせば更に少なくなる筈で、冬場の凍結現場での転倒減がキーポイントとなるだろう。
信用を勝ち得るには労災根絶しかなく、更なる精進を求めたい。