時の話題 「色取々の月」
9月の声を聞くと秋を実感する。菊月とも言われ菊香る季節になり稚内の佇まいは秋そのものだが、本州は未だ夏まっ盛りのようで連日、何処かで真夏日30度を超えている。
9月1日は立春から二百十日を数え台風など自然災害が多発するので二百二十日同様、厄日とされる。
1923年(大正12年)の関東大震災、そして稚内では83年(昭和58年)にサハリン州西海域のモネロン島(海馬島)上空で大韓航空機が撃墜された日に当り、まさに厄日ではある。
関東大震災の時、筆者は生まれておらず当時の新聞などのニュース、歴史の文献で実状を知るしかないが、大韓航空機撃墜事件の時稚内プレス社に入社しており、実際、300人近い犠牲者への慰霊の船(東日本海フェリー=今のハートランドフェリー=のフェリー)に乗り取材したこと、オホーツク海沿岸に漂着した犠牲者の遺品回収に市や警察・消防などが休む暇なく行っていたのを想い出す。
その後、鎮魂の野火冥福を祈る灯、そして中央アーケード街などには小中学生が折った折り鶴を飾るイベントが催されており、稚内市民にとっても忘れることが出来ない日になっている。
きょう午後には宗谷岬公園で犠牲者を慰霊し恒久平和を祈念する記念式が開かれた。米ソ(旧ソ連)冷戦時代の縮図ともいえよう撃墜事件は歴史上はもちろん稚内市民の心にも深く刻まれている。
色取月とも言われる9月はこのように世界中で似つかわしくない出来事が起きている。今、起きているコロナ禍だけで十分です。