時の話題 「信金という砦」
先ずは一安心。稚内経済を下支えする稚内信金の3月末決算は経常収益53億6526万円(前期対比3・7%増)、経常利益11億959万円(同2・2倍)、当期純利益7億9002万円(同2・5倍)と、前年度を大幅に上回った。
稚内信金の業績は表に出る以上の内容の良さであり、配当負担のない特別積立金など利益剰余金は507億円を超え、自己資本比率は前期末の52・89%からは落ちたとはいえ47・00%と、国内基準を11・75倍も上回っており、貸出金有価証券など総資産は4988億900万円にもなる。正に磐石である。
ただ懸念材料は新型コロナウイルス感染であり、今年2月以降、コロナの影響を受けた企業に対し緊急融資を行っているが、道新によると5月末で約100件、金額は約11億1000万円にのぼっているというのだから、その影響たるや半端でない事が窺える。
同信金として貸し倒れのリスクもあろうが増田理事長は敢然として損失に怯むことなく「企業を助けよ」と発破を掛けたという。
井須孝誠前理事長(故人)時代から将来の理事長候補として東支店などの支店長を務め現場主義をモットーにしている増田氏は風体から豪胆さは感じられぬも胆力ある人で、個人的には年1回の小紙正月号でのインタビューでお話しする程度の付き合いしかないのだが地域事情に精通しており、この度のコロナ禍は乾坤一擲の正念場と見ている。
己が屋台骨は地域住民と企業であり、窮地に助けねば存在意義がないという心意気。トップはこうあらねば。