時の話題 「七月文月」
枕詞のようになっている「早いですね」。早いもので一年の半分が過ぎた。令和になり早2カ月、世界の主要20カ国・地域「G20」の首脳会議での安倍総理夫妻のはしゃぎぶりが目と鼻につき、各国の首脳と称せられる人達にも同様な思いが湧いてくるのを禁じ得ない自分がいる。
そんな茶番劇は脇に置きハンセン病(らい病)の元患者の家族にも差別や偏見を受け社会的にも屈辱的な扱いを受けたとして国に損害賠償を求める訴訟で地裁(熊本)とはいえ国の責任を認められたことには溜飲が下がる思いがした。
らい菌に侵され顔が爛れるなど身体が侵され末梢神経にも影響を及ぼす癩病(ハンセン病)はチャールトン・ヘストンが主演した「ベン・ハー」でも描かれ、最近でも亡くなった樹木希林さんが主演した日本映画「あん」でも隔離されるなど理不尽な扱いを受けた患者の様子が描かれていたのは記憶に新しい。
本人の苦難はもとより家族も周囲の人達から蔑まれ人間の尊厳も傷つけられ、患者が出た家では公けになるのを恐れ家から一歩も出さなかった―などとの報道に及んでは胸が痛んだものだった。
退位された上皇皇后さまは天皇皇后の時代ハンセン病患者が隔離された施設を訪れ優しく接しておられたが、このような御活動もあり家族を含めた手厚い賠償が必要との判断になったのだろう。
国が控訴するか、否かは別にして弱い立場の人達の、人間としての尊厳が回復することは慶ばしい事と思う他方、G20の愚かさとの乖離に思わず天を仰いでいる。