時の話題 「令和」
西暦645年の「大化」以来248番目の元号が「令和」と決まった。皇太子さまが即位される5月1日に「平成」から令和に改元される。
今上天皇が生前中の退位を明らかにされ政府も陛下の御意志を尊重し生前退位が決まった後は、「平成」の日が無くなる日々を数える平成フィーバーが続き、大会やイベントなどには「平成最後の○○」という冠が付いてきた。
平成の間に30年4カ月ほど月日が流れ、例えば筆者が34歳から64歳になったよう年が取るだけでなく幾つもの幸せと不幸せを経験されたことだろうが、若い時思った平凡なる日々の退屈さは年を重ねるにつれ至宝であることを気付かせる年月というのは何なのか。光陰矢のごとしと月日が経つ速さを象徴する諺があるが、速さだけではない時の移ろいを国民全員が改めて感じる元号代わりとなろう。
新元号「令和」について私見を申し上げさせて戴ければ、「令」は令息・令嬢、巧言令色、命令、指令、法令など熟語を想起する漢字で、よい事やめでたい事の意味がある一方、上の人間にとって組織統制のための言葉でもあり、国が安定し組織され家族が幸せを分かち穏やかに和むとの意味があろうか。
言葉を拾った万葉集には桜より前に咲く梅の凛とした佇まいを表したような記述があったようだが、そういうことでは散りぎわの美しい桜より梅干や梅酒などにも有効利用される梅の持つ健かさを感じ、平成で築いて来た平和の世を確たるものにしようという日本の将来像にも及ぶ元号となろう。