時の話題 「田中さんと会って」

 根性と言えば陳腐なほど精力的な人であった。1週間ほど前、いきなり「会いたい」との電話があったのがガウディ研究で知られる田中裕也さん(73)で小社屋に招き2時間ほど対話した。
 稚内駅前にあった「天北庵」が実家で稚内にいる暇つぶしに名指しされたようだ。2時間のほとんどは田中さんが自らの半生を語り▽幼少時代はプラモデル作りが好きだったこと▽学生時代に大阪から稚内まで6千㌔に及ぶ自転車旅をしたこと▽ガウディ知りたさにスペインに渡ったことなどのエピソードを混え語り尽くした。
 1978年にスペインに渡って以降、バルセロナを拠点にガウディ建築を巻尺を使って実測し続けるという類稀なる忍耐でもって続けてきたガウディに幾らかでも近付いて行こうとの姿勢は世界的に評価され、今やガウディ研究者の第一人者として知られる人物であり飽くなき情熱と好奇心に圧倒されてしまった。
 その田中さんが今、取り組もうとしているのが北防波堤ドームを核とした稚内再生である。自ら評価される礎は稚内にあるとの故郷への恩返しもあるのだろう。北防ドーム改修も国だけでなく世界の一流建築家にアイデア募集し競い合う国際コンペを行い壁画を描くなどすれば世界的な話題となり、関係した建築家だけでなく観光客も来稚するようになり稚内が注目されることになろうとも述べた。
 信念と相俟って諦めの悪い男の生き方を聞いて思ったのは「新聞は面白くなければならない」との筆者の考えにも通じ、時間はアッという間に過ぎた。