時の話題 「新しい戦前」
新しい「戦前」とは単に過去の昭和初期をなぞる言葉ではなく、私たちが気づかぬうちに社会の空気がじわじわと変質していく過程そのものを指す概念として捉えるべきだと思う。
経済不安や人口減少国際秩序の揺らぎが重なると、人々は安定を求め、強い言葉や単純な解決策に惹かれやすくなる。北海道のような地域でも、生活の実感としてその不安は共有され、政治や社会へのまなざしが変わる瞬間がある。
戦前の特徴は、誰かが「戦争を望んだ」ことではなく、社会全体が「気づかぬうちに戦争を避けられない空気を作ってしまった」ことにある。
議論の多様性が失われ、異論が「空気を乱すもの」とされるとき、民主主義の基盤は静かに痩せていく。メディアの論調が単一化し、市民の語りが萎縮し、地域の小さな声が届きにくくなるとき、そこに新しい戦前の影が差す。だからこそ、私たちが今できるのは「空気に流されない市民の語り」を保つことだ。
日常の中で違和感を言葉にし、地域の経験を社会につなぐ視点を持ち続けることが、戦前のような状況を未然に防ぐ最も確かな営みになる。市井の生活者としての実感を語ることもまた、未来の平和を支える一つの行為だと思う。
(江別市、塾講師・伊藤康生)
※筆者より 今日から江別の伊藤さんの投稿も掲載することにしました。50歳と筆者より若く、かつ稚内以外の健筆者に期待する事大きく、べらんめえ調の筆者には無い味が醸し出される事でしょう。


