クマ棲む自然を次世代へ 熊森協会道支部 室谷会長と安藤氏 慧眼講話

日本熊森協会北海道支部主催の「再エネがもたらすものとは~森林破壊の実態」が4日午後、生涯学習総合支援センター風~るわっかないで開かれた。この種の稚内の企画としては異例の80人もの市民らが室谷悠子協会長と自然への思い入れが強いカメラマンでありネイチャーガイドの安藤誠氏が森を守ることの大切さを聴いた。
午前中、ユーラスエナジーの風力発電施設を視察した松木謙公衆議=立憲民主党=もセミナーに参加し「地域温暖化が顕在化し、再生可能エネルギーが国民にとって良い方向に向えばいい」などと挨拶した。
弁護士でもある室谷悠子さんは、(本州に棲息する)ツキノワグマが絶滅寸前までになり、その1年後には狩猟禁止となった中学生の頃から運動に参加し水源を守る同協会が設立され30年経過し、今こそ森を守るために生物の多様性は必要で、雨が土壌に浸み入り水源としての森が形成されるという自然界の営みについて「森なくして人無し」、つまり人間としての営みも叶わぬことを強調。森に保水力が無くなっているとし森の多面的機能が失われており再現するのが難しい事態になっていると話した。
今、道内では243基もの風力発電施設が計画中で尾根伝いに建設する風車が森を壊し涵養性が失われ、クマが増えているのは人里近くに箱ワナを設置しクマを誘引していると従前の方法に誤りがあるとも指摘した。
続いて稚内に住んでいたという安藤さんはクマの餌となるドングリは陰樹(日光が当たると育たない樹木)で陽樹である白樺などにより育てられているとし、マスコミは「クマは狂暴で危ない」との報道をしているが、クマは元々、野菜を主食とするベジタリアンであり、クマに関する教えはアイヌ民族によって伝えられているとし自らが撮った母グマと子グマのじゃれる光景の写真を見せ、マスコミのクマの生態を知らぬ知識不足をやんわり批判した。
今、安藤さんは鶴居村に住みアドバイザー的な約目をしているが稚内に住んでいたこともあり「札幌などと違って本物しか生きれないのが稚内の市民」と持ち上げていた。

