庁舎運用後の公債比率注目 元稚内市議会議員 佐々木政美

北見市が財政難に陥り年度末には債務不履行の懸念が報じられている。経費を5億円削減し、ふるさと納税で50億集める予算を組むなど不確実性100%の予算を組み、それを承認する議会も議会である。北見議会は財政難を理由に定数を削減したが、たったの1名である。北見市前市長は、新庁舎は小さく建て、足りない部分は民間の空き店舗を活用したい、と議会に提案したが議会がこれを拒否。現職市長が110億の新庁舎を建設することになった訳である。議会の責任は市長と同等にあるのに30億の財源不足を理由に議員定数1名減750万の経費削減である。市長も議員もリコールされてもよいほどだ。
報道によると北見市役所新庁舎の建設費110億円が問題視されているが全く他人ごとではない。夕張市が財政破綻した事により、総務省は地方自治体の財政指標を策定し、身の丈にあった行政運営を求めている。公債費比率は25%で要注意、35%で国の管理下に入るという指標だが、北見市の新庁舎運用開始の令和3年の公債費比率は10・3%、稚内市の新庁舎運用開始前年の令和5年は10・17%で北見市とほぼ同率。現在開会中の議会が終われば令和6年度の公債費比率が公表される。北見新庁舎開庁時点での10・3%を上回る数字が出れば北見と同じ道が予想される。北見は建設から3年後の令和6年度決算時で12・5%でキャッシュフローが30億マイナスになった。公債費比率とはその年度に支出される総支出額に対する地方債(金融機関借入など)の割合である。公債費比率12・5%で財政が立ち行かない事態が実際に起きたのである。政党の北海道連合会を通じ内閣に質問主意書を依頼した。現行の総務省の示す財政指標では指標になっていない事実を北見が示した事の内閣の見解を求めたい。
稚内市が新庁舎建設に立案から着工まで十数年かかったのは旧全日空ホテルの借金の肩代わり18億余りが公債費に計上されたため、公債費比率が悪化したものと推察する。北見市の状況を考えれば極めて危険水準である。市立病院の12億円の赤字を市が補填したと思うが、キャッシュフローは大丈夫なのか。心配でならない。


