時の話題 「そろばん塾」
先日、市内で唯一そろばん塾を経営する女性が閉鎖する報告に小社を訪れた。珠算・暗算合格者を紙面に載せてきたからの御礼もあって来社したのだが、悲しむというよりやり切ったという充実感が眼力から読み取れた。
当人は未だ暫く続ける意欲があったようだが夫の体調が悪くなり治療の必要性に迫られ娘さんが住む旭川に引越すことになったような話をしていた。
60年ほど前、稚内には十指では数え切れないほど算盤塾があり筆者も恵比須2にあった木村塾に通っていた。唯一の習い事だったが狭い部屋にぎゅうぎゅう詰めになり先生に指導を受けていたことを思い出す。
もちろん電卓が無い時代のことであり習ったことで計算能力が向上し勉強ばかりでなく何かと役立った。
少しばかり複雑な掛け算も算盤を頭に描き手で弾くように計算できた。残念だが段までは取れなかった。
その後の電卓の登場で世の中は変わり人の計算能力が飛躍的に向上し経済分野に役立ったのは論を候たず、今ではスマホにもあり電卓なしの世界は有り得なくなった。
そろばん塾だけでなく十数年前には稚内から畳屋が無くなり、外壁などもサイディングが主流になるなど様変わりしている。何の商売も需要なければ廃れてしまい挙句は廃業してしまう。
時計を修理する職人もいなくなった。壊れたら新品に買い替えるしかない。
時代の趨勢だが新調々々では味気がない。アンティークな骨董品的な物や職業が喪失して行くのは淋しい。年寄りの戯れ言かね。


