時の話題 「昆布漁に思う」

 けさ小欄書くのに当たってペンが止まり何を記せばいいのか迷ってしまった。参院選のことか、はたまた当地の景気のことか―などまとまらない。一カ月に2度ほどある。
 その際の逃げ口上として用いるのがだらだら散文めいた文章を書くことで、数十年この仕事をしていても腰の定まらない性癖めいたところに行き着く。
 20度を切り涼しかった昨日から少なくともこの一週間は25度前後の稚内人にとって暑い日が続くよう。夏を迎えた。
 この2年、不漁だった前浜のコンブ漁が解禁され、実は薄いものの、それなりの量があり従事する漁師はじめ関係者は今、胸を撫で下ろしているところであろうか。コンブ漁は採った後の天日干しなど作業が大変だが、昔はひと夏で数百万円稼いだと言われた。
 家族総出で干し片付ける作業は中腰で行うため体に負荷を掛けるも家族の一体感が生まれたのは正に昔の話であり、今は他の仕事同様、人手不足にあり、加えて漁業権を持つ稚内漁協組合員(漁師のこと)の高齢化もあり従事する漁師は毎年のよう減っている。
 磯船によるコンブ採りの光景は観光客に魅力的なようで稚内の夏の風物詩になっているが、現実は資源が減り、人手が足りないとの問題があり、天然コンブ漁はそのうち無くなるのではと憂慮している。
 もう一方の沖底業界も往時の60余隻から5隻にまで減り船体の老朽化が声高になり久しい。酪農業からの離農も増えている。
 第一次産業衰退は稚内の将来を危なげにしているのに違いない。