時の話題 「石破総理考」
自民党に激しい逆風が吹いている。マスコミ各社の参院選に対する世論調査によると「自民党には投票しない」という意向が過半数を占めた。与党の一角・公明党も苦戦するものとみられ、ここまでの筆者個人の感触では参院選でも退潮し、減り方によっては一気に政権交代へと向かうのではと推察している。
下野するとなると不評の2万円の給付金は帳消しとなり、現野党こぞって主張する消費税減税案が実際の政策として浮上する。
政権内野党としての存在だった石破茂氏は旧岸田派の支援によって自民党総裁となり内閣総理大臣に就任したものの、衆院選(昨年10月)の結果で少数与党になり政権運営に腐心してきた。きつい表現にも隠忍自重し丁寧かつ謙虚な受け答えに終始し脆弱な政権の維持に努めてきた。
総理の人間性のよう皆で苦難を乗り越えようと言動に嘘はないものの、日和見的で頑とした姿勢が感じられず正義と常識的な「書生の論理」(櫻井よしこ氏)を駆使し、この8カ月間、耐えに耐えてきた。
人柄はいい人だが総理としてはパンチ力が足りず迫力に欠けている。
筆者は「良い人はトップになれず潰すだけ」との持論があり、石破総理は語彙も広く相対する議員や政党に対して不快感どころか相手を尊重する高邁な気持ちを持った人で、良い人の典型である。
吉田茂、岸信介、田中角栄氏らのような権力主義の自惚れ屋でもなく、思うに奥さまや家族を慈しみ人生を送ってきたのだろう。
権謀術数の政界では異端児だと言えよう。


