時の話題 「地域の新電力」

 稚内新エネルギー研究会(石塚英資会長)の地域新電力セミナーの講演を聴きに行き強く感じたのは、どんな苦難があっても諦めずにやっていれば誰かが助けてくれるということだ。普段から筆者が小欄で書いている事だけに感慨深く聴いた。
 講師は青森県大間町で(一社)市民風力発電おおまを立ち上げた青森県民エナジーの富岡敏夫社長。東北弁で優しそうに話す様子なのだが「とにかくやってみよう」「リスク覚悟でやる」「原発でなくきれいな電気を使おう」「地元に還元されていないので地域主体でやるべき」「グローバルサウス(新興国)の犠牲の上で今の繫栄が成り立っている」などと、意気込みばかりでなく世界の実状を話し変えて行こうとする姿勢に東北人が持つ粘り強さも垣間見た。
 この20年間、紆余曲折あるもエネルギーの地域自立めざしやってきたことで辿り着いた結論を「何事も腹八分目。分かち合う=助け合う精神が大切」と説く富岡氏を見て「この人だから苦境にありながらもやり遂げたのであろう」と思った。
 人生と事業の荒波を乗り越えてきた経験から国の助成はもとより大手企業との共生を説くとともに、反原発の姿勢を強く主張はしなかったものの「きれいな電気」という語り口に心の奥底がみえた。
 大手企業、稚内にはユーラスエナジーが風力発電事業で進出しており、既に設立され今後、地域電力会社として市の公共施設への電力供給をめざす「㈱北風と太陽エナジー」(石塚英資社長)にとって我が意を得たりと、これからの事業推進に弾みがつくであろう。

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