時の話題 「てんでんこ」

 けさの全国紙に政府(復興庁)の「東日本大震災で犠牲となられた方々への追悼をお願いします」との広報が掲載されていた。きょうは14年前の2011年3月11日午後2時46分、三陸沖でマグニチュード9・0の日本最大の巨大地震が発生した日である。昨日の小欄で行方不明者を含め2万2千人以上の死者が出たこと認めたが、大津波で原子炉にメルトダウンが起きた福島第一原発の放射線漏れでの避難者が未だに2万7千人もいる。
 規制が解除されても以前の住いに戻る人は僅かで稚内の人口並みの人達が避難生活と言うより第二の人生を送っている現状への同情を禁じ得ない。
 小欄で何回か書いているよう筆者は大地震から2年後のGW中に八戸~仙台近くまでの東北沿岸一帯を有志の人達と共に旅したことがあり、陸に打ち揚げられたままの漁船などの惨状ばかりか、当時の復興状況を語り部から聞き涙したものだった。
 その日から12年経とうとする中、テレビで映し出される被災地に建てられた施設の偉容にギャップを感じ、政府は地域住民に寄り添った政治を行ってきたのか―との疑いさえ持っている。
 視察先のとある地域に「てんでんこ」と書かれた石碑があった。地震があったら人に構わず自分独りだけでも高台に向って逃げなければならないという教えだ。何度も大地震に見舞われた東北の人々が遵守しなければならない鉄則なのだろう。
 原発回帰といい政府は経済効率を優先し政策を実行しようとしている。誠の政治と言えるのか。

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