時の話題 「遊びから学びへ」

 卒業式シーズンを迎えた。とりわけ高校卒業生は進学、就職と違う進路に向かって歩まなければならず、世間が広がる分、〝七人の敵〟とも渡り合わなければならない。親元から離れる人は決断力が求められる。
 先ず独りになることから3度の食事を自炊なりコンビニ弁当で賄わなければならず、洗濯をし掃除もしなければならない。筆者が50年前上京した時には電化製品もなく(テレビも無い)洗濯板でゴシゴシ洗ったもので、おかずだってサケなど安い魚を焼き凌いだものだった、その癖、遊びには執心し、親を騙し送金してもらい遊興費に当てた。とにかく遊んだ。
 若い時から物書き志望だったので芥川賞受賞作品はよく読み、夏目漱石など純文学もよく読んでいた。社会人になってからは仕事に忙殺され趣味もへったくれも無く働き、よく飲んでいた。
 自堕落な生活を続けると、さすがのバカボンも期する所があったのか少しは人生の命題を考えるようになり、稚内に戻り結婚し子どもができた頃はいわゆる人生まっしぐらでなく峠を越えたような焦燥感に駆られた。
 そのうち40、50代と年を重ね還暦を過ぎ幾らかまともになるも社長になって以降、忙しさに目が回る思いをしている。
 遊びは人生の糧にはなるが続けてはいけない。遊びで得た心構えを昇華して行かなければならず、日々学びの毎日になる。キリギリスの生活はノー天気で楽しいが、それだけの事でありアリのような一歩が大切になる。腐らず焦らず前向きな人生を願っている。