時の話題 「変わる北の海」

 さほど古くない時代まで冬は辛抱の時期と言われ、観光ばかりでなくデカンショ節で冬期間3カ月以外で一年中の稼ぎをしてしまおうとしたものだが、時代は変わり、逆手に取った冬季観光など興しギャップを埋める努力をするようになった。
 昔、稚内では前浜にもしょっちゅう流氷が接岸していたものだが当節は極めて珍しい自然現象になりコンブ漁が不振になった一因だといわれる。流氷が沿岸の海底をきれいにし流氷と共にやって来るプランクトンが海の幸を豊富にしたものだった。
 オホーツク海の流氷シーズンは2月に入ってからだが、アムール川を源流とする流氷は地球温暖化によって縮小化しており必然オ海の流氷も規模が小さくなり、東寄りの風で宗谷湾に流入する砕け氷も少なくなり、更にその西側にある稚内前浜への流入は数年どころか十数年に数度までになっている。
 紋別や網走では砕氷船での流氷観光が既に始まっており、流氷がなくてもサハリンから南下して来るといわれるアザラシなどに乗船客は嬉々とする。
 サハリンから一衣帯水にある稚内の抜海漁港には多くのアザラシが移動・出没し一時は展望小屋が設けられるなど冬場の観光資源となるも定置網を破りカレイなど食害が絶えず漁民の訴えもあり小屋は撤去されたが、今でも押し寄せる数は変わらず、稚内に居座るアザラシが声問、宗谷岬海域でも悪行を繰り返し被害額は数億円にまで膨んでいる。
 物事や事象には表と裏があり得するだけでなく被害をこうむることもあるという事だ。

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