年頭所感 若者に魅力ある街作り 平岡祥孝大谷高校長
新年おめでとうございます。
さて、不確実・不透明な時代の中にあって地域社会を持続可能な社会に構築していくかは、喫緊の課題です。その課題解決に向けて地域特性を踏まえた地域政策を立案し、遂行していくためには地域社会全体の共同作業が必要不可欠です。人口減少の負の影響を低減する政策や、人口減少を前提とした政策も視野に入るでしょう。
政府は「若者や女性に選ばれる地方づくり」を掲げました。その実行性に、地域社会は直面しています。単一政策では不可能であり複数の政策の効果的な組み合わせが重要です。従来の人口減少対策は、合計特殊出生率向上に重点を置いた政策が中心であった、と言っても過言ではありません。あくまでも私見ながら、社会増減対策に焦点を当てて、労働と余暇の視点から考えていきたいと思います。
稚内市では有効求人倍率を見る限り、雇用機会は存在しています。それに加えて、とりわけ若年女性の流出を防ぐためには、処遇・待遇面から地元企業の雇用力をより向上させることや、国や道の出先機関において地域限定採用枠を設けることを筆者は望みます。
余暇の面では、若者が飲食・買い物・娯楽を選択的に楽しみ、良質な時間消費が可能な空間を創出する必要があるのではないでしょうか。まず需要があって次に供給を考えるという発想から、先行的に中心街の供給力と集客力を高めて需要を呼び込む発想に転換し、老若男女が集うダウンタウンの活性化を図ることです。地域の生活環境向上の基盤となる豊かなストック社会を目指すためには、既存資源の有効的活用も含めて、一定の規模と水準のハード整備が求められます。
集積の経済を実現するためには、財政出動の出番です。使途・目的が明確となるクラウドファンディング型ふるさと納税を財源とした重点投資は、一考に値するのではないでしょうか。魅力的なまちづくりは、まずはハードを整備したうえで、様々なソフトの施策を打っていくことが肝要です。そして、距離と時間を克服する高規格幹線道路が延伸され、稚内空港の路線・便数が充実するならば、郷土愛や家族愛を持ったUターン就職、挑戦心や進取の気性を持ったIターン就職に対する助成は、さらに有効なインセンティブとなるでしょう。また、関係人口・交流人口拡大への波及効果も見込まれると推察されます。
地域づくりは人づくりからと言われます。まちづくりと教育があってこその人づくりと、筆者は考えます。新年を迎えて、官民パートナーシップ(PPP)を最大限に発揮した魅力あるまちづくりを期待するとともに、地域密着型私立学校である本校の役割を再認識しているところであります。