時の話題 「出張買取」

 この数カ月、新聞に出張買取のチラシが連日のように折り込まれている。金やダイヤモンド、貴金属ほかバッグ、財布、靴などブランド品を買取るというもので、折り込みが続いているのは稚内市民の申し込みが多いからなのだろう。
 沖合底曳漁華やかし頃の船主・船頭ばかりでなく甲板員も高給取りだったので妻や家人が買った宝石やブランド品、高価な着物を札幌などからの業者が買い漁っているのか。
 その底曳き景気も地に落ち年を取ると共に断捨離ならぬ整理しようと売っている方もいるのだろうし、年金だけで楽でない暮らし向きを贅沢品を売ることで足しにしようとして言う人もいるのだろうか。
 チラシを見ると切手やテレカ、金券、刀剣など骨董品ばかりでなく除雪機、カメラ、縫いぐるみ、フィギュアなども買取りしており「ほんの一例です。気軽にお越しください」とPRしている。
 さて、これからが本題だが、出張買取をする会場が稚内市の施設なのが問題で、市も容易に貸すものでないと個人的に思うが如何だろうか。
 以前、質流れ品などバッタ品の販売が文化センター小ホールで行われ物議を醸したが、今の出張買取も同じ類のもので、会場は公共施設でなく民間の空きスペースを使うべきでないのか。
 これほど出張買取が盛んなのは稚内市民の生活が楽でないことの証左であり、裏返せば啄木ではないが「働けど働けど我が暮らし楽になりにけり」という実状でないのか。会場貸すより貧困対策を実行せねばならない。