時の話題 「無理せず生きる」

 工藤市長はじめ多くの政治家が「稚内はポテンシャル(可能性)が高い街」と言う。確かに日本列島最北端にあり宗谷岬など景勝地に恵まれ、海ではホッケやタラなど魚が獲れ最先端の電力施設・風車が並ぶなど未来の可能性の高さはあるだろうが、街が栄える絶対条件である経済に将来はあるのだろうか。子どものことを誰しも将来があると語るのと同じレベルではないのではと思うことが時折ある。
 旧ソ連の200㌋以降の沖底業界の凋落には目を覆うものがありもう一方の酪農も離農が目立つ。沖底漁は浜値高く機船漁協は前年度、1億円以上の利益を出したが海の激変には手の施しようがなく、宗谷漁協のホタテ漁が稚内を支えるといっても過言でなかろう。
 これまで稚内を支えてきた人達(民間、公務員問わず)の札幌などの転出が目立つのは冬季の除雪、医療などへの不安があるからだが、一番の理由は田舎暮らしに飽き、ただ札幌など他の街で余生を過ごしたいとの思いからでないのか。
 今、闘病中の人は何かと不便なことはあろうが、未だ大病にもなっていないのに先々を憂うというのは転ばぬ先の杖以外の何事でもあるまい。
 老後に2000万円要るなどとの識者の試算が問題になったことがあったが、筆者思うに2000万どころか億のお金がなければ悠々自適には暮らせず、そうであるならば人も自然も知り尽くしたマチで暮らすのが一番宜しかろう。安易な転出は災いを起こす。
 要はなるがままに無理せず生きていけばいいのだ。