サ州との近さに好機 ロシア時局講演会 「混沌下、稚内にチャンス」
稚内商工会議所と稚内日ロ経済交流協会による時局講演会「いまロシアで何が起きているのか~稚内港の可能性を考える~」が13日午後、宗谷経済センタ
ーで開かれ、講師の馬場直弘氏(LCCASGAR CFO兼COO)は「ウクライナ紛争により中国やウラジオストクなど極東からモスクワへのトラック輸送が増大しているが航路を考えた場合、ロシア(サハリン州ホルムスク港)と最短距離・時間にある稚内港のポテンシャル(可能性)は高く、ユジノサハリンスク(州都)からモスクワへの空路を利用した貿易が現実的かつ期待できる新機軸になろう」との考察を披瀝した。
一衣帯水にあるサハリン交易中断を危惧している中田商工会議所会頭が将来を見据え今のロシアの経済を中心にした実状を、三菱商事ロシア駐在所副所長などとして20年以上に亘って、ロシアで貿易の仕事をする馬場氏に講師を依頼したもので冒頭挨拶した中田氏は「長年続けてきたロシア人研修再開のめども立たず、(北極海航路の)ゲートウェイ港として稚内の町づくりに多大な影響を及ぼすロシアとの現在の状況を皆さんにお届けできれば」などと馬場氏の講演に期待を寄せた。
馬場氏は、地方で顕著なインフラの老朽化極端に少ない港湾などロシア物流のハード面での物流の特徴を挙げる一方、電子化、ペパーレス化の先進的な発展だけでない以前から続く通関制度の不透明さなどマイナス面も指摘。ロシア鉄道が国の隅々まで速度重視の物流を行っていることも強調し、郵便通関が日本と変わらないほど充実していることも明らかにした。
ウクライナ紛争での欧米各国の制裁でコンテナ輸送が滞留する他方、中国との貿易は拡大し処理できない状況に至っているとし、紛争で遮断されているルートの代替として①カスピ海縦断ルート②同横断ルート③パキスタン・アフガニスタンルートを模索中だが、保険料が高いなど問題もあるとした。
稚内・コルサコフルートは日本で唯一無二のLCL(小型貨物)取扱い可能なルートであり「ウクライナ紛争により物流ルートが変わっているので(紛争終結後になろうが)稚内に多くのチャンスが回ってくるでしょう」と述べていた。