先週のことども
ノロノロ台風の10号に翻弄された先週の日本列島。生活、物流だけでなく政治にも影響を及ぼしインフラの脆弱さも露呈した。線状降水帯が何カ所も発生する異常な降雨だったとはいえ道路など住宅街が冠水・浸水する光景にもさほど驚かなくなったことは尋常とは言えまい。
その異常さに比べ普段と変わらぬ生活を過ごした稚内に住む人々はお天道様に感謝しなければなるまい。涼しいしね。
昔、ニシンが大漁だった時代の春先は〝ニシン曇り〟といいどんよりした天候が稚内、利礼両島など日本海沿岸の町に富をもたらした。その後の底曳き漁もどんよりした空模様がマチの代名詞になるほど勝れない天候、すなわち冷涼な自然がもたらした産物ではあった。この街の最大の特徴は肌寒さを感じるほど涼しいということだった。
7月初旬の北門神社例大祭の時でさえストーブを焚くほど冷涼な日があったほどで夏遠しの思いを抱いたものだった。
その最果て稚内にも6月から暑い日が増え例大祭もみなと南極まつりも震えることは無くなった。一口で述べれば地球温暖化の影響なのに違いない。
稚内らしくない季節の移り変わりに溜息つく御老人もおろうが、人並みになったことを甘受する若者がいるのも事実で、SNSでの情報の電光石火の伝播同様、刹那の喜びを体現している。
マチもヒトもだが他と比べ違っているのがマチの発展につながり、ヒトの成功に結びつくことを体験している筆者にとって未知の世界が広がりつつある。