平和の大切さを説く 稚内市 乙女の碑祈念祭で市長

祭壇に一輪菊を捧げる工藤市長


黙祷する中間さん(中央)ら関係者

 第62回氷雪の門・九人の乙女の碑平和祈念祭が20日、文化センターで執り行われ、自決した乙女を偲び旧樺太の関係者らが平和への誓いを新たにした。
 実行委ら関係者250人余りが出席した中樺太物故者に黙祷したあと実行委員長の工藤市長が「悲惨な歴史を決して風化させることなく次代を担う若い世代に平和の大切さ、命の尊さを訴え、語り継ぎ、平和で心豊かな社会を築くために力を尽くすことが犠牲となられた御霊に対し報いるべき道であり、責任であります」などと式辞を述べた。
 鈴木道知事(代理・成澤直人宗谷総合振興局副局長)、鈴木茂行市議会議長ら来賓4人が慰霊と平和祈念の言葉を述べたあと、九人の乙女の肖像画が飾られた祭壇に工藤市長らが花輪、参列者が一輪菊を捧げ、北海道詩吟連盟稚内支部の献吟、稚内フラウエンコールの合唱があり、最後に稚高吹奏楽部25人が「花を咲く」など2曲を演奏し、九人の乙女や樺太で亡くなった日本人の冥福を祈ると共に世界の恒久平和を願った。
 九人の乙女の同僚として元真岡(現ホルムスク)郵便局勤務していた金川一枝さんの娘で2016年から平和祈念祭に参列している中間真永さんは「乙女の悲劇については、関係者として風化させないよう取り組んでいきたい。若い世代に戦争の悲惨さ、平和の大切さを訴えていきたい」と語り、九人の乙女の物語を全国各地で舞台公演している愛宕劇団代表でもある中間さんは「今年は舞台公演を休んでいますが、終戦から80年を迎える来年は大きな舞台をやりたい」と本紙の取材に応えていた。