時の話題 「医は仁術」

 もう10年以上になろうか頭の痒みとフケがひどくドクターのお世話になっている。生き死にの症状でないので治癒しなくてもとノンビリ構えているが、がんなど緊急性を要する病であれば当人はもとより家族、関係者も気を揉む。
 稚内に限らず何処のマチでも医療に係わる事柄は病気が治って当り前で不祥事があれば病院が訴えられることもある。それだけにドクターの診察と診断が重大なことは論を俟たずミスがあったものなら経歴に傷がつき辞めざるを得ない事態も生ずる。
 それほど厳しい仕事でありながら医者という職業を安易に考え、例えばの話だが診察に当たって患者の目でなく机上に置かれたパソコンだけ見て診断し処方するドクターも偶にはいる。先日、そのような対処をされたと言う高齢の女性が本紙に電話で訴えてきた。「兎に角、態度、物言いが悪かった」と。
 筆者のように症状が生き死に関係ないと思われても適切な処方を望むものだが、ドクターが患者の揚げ足を取るなどとの言動はもっての外のことであり善処を求める。
 世の中には勘違いしている御仁がおり医師もそのグループに入るか。患者を診る対価として報酬を得るので余り不遜な態度をしない方が宜しかろう。
 その電話の主は「市長が態度が悪い医者を連れてくるのでしょう」と筋違いの事を言っていたが、医者の数より中味が問題なことは指摘するまでもない。
 助けを求めてくる患者に対し慈愛の心で接するのが医者の務めであること、お忘れなきよう。医は仁術なり。