時の話題 「札響定期演奏会」

 札幌交響楽団の演奏会が39回目を迎え、今回も足を運んだ。仕事の関係で開演ギリギリになったが、会場に行くと最上階席も埋まるほど人が集まっており入場料、曲目にテコ入れしたのが奏功したようである。
 実は個人的に演奏曲目から余り期待していなかった。クラシックの上部を撫で、ほかは映画音楽では十指に入ると言われる札響の演奏としては物足りなく、来年以降は純然たるクラシックを堪能する演奏会を望んでいる。
 40年前に文化センター杮落しでの市民の合唱付き第九演奏の翌年から始まった札響演奏会だが、年が経つごとに聴衆は減り、コロナ禍の中止を余儀なくされ今に至る。稚内のクラシックファンはそう多くないと見込まれる中、次代を担う中学生を招待した試みは、若い人達のクラシックへの道の萌芽には寄与したことであろうから貢献度は高い。
 ただ今年のファン掘り起こしを図ろうという策により来場者が昨年に比べ17%(250人)増えたのは事実であり、今後の運営に一石を投じた。
 どうだろう、前半に軽い曲調の演奏をし、後半は30分以上の、これぞクラシックという曲目を期待したい。稚内信金、道新という資金力ある組織の演奏会である。少々不入りでも文化を育むという観点でプロの交響楽団の演奏を楽しみたいとするファンの期待に応えていただきたい。
 最近は稚内でも文化を育てる機運が高まっている。その一番手である札響演奏会を意義あるものにするため草創時の気概に還って継続していってほしいものである。