時の話題 「人、いないのか」

 求人倍率が全道、いや全国屈指なのだが、募集しても人が集まらない。稚内の雇用状況である。
 稚内プレス社でも記者職、制作職の社員を募集するも冷やかし程度で数名応募あるものの穴が埋まらない。新聞社ゆえの敷居の高さがあるにしても記者職の新入社員はこの数年なく、2人の現役記者が苛酷な勤務が続いており、社長として陳謝するしかない歯痒い状況が続いている。
 稚内職安の雇用失業情報から推察するに、この1年ほど月間有効求人倍率が1・5倍を超え、昨年10月~今年1月までは2倍を超える求人倍率があったにも拘らず一向に人手不足状態は解消されず、所によっては従業員が少ないため、折角仕事を請け負っても断ってしまうという会社があるという。
 医療関係、ごみ回収など市民の生活に欠かすことができないエッセンシャルワーカーも人が集まらず、市民生活に破綻が生じるのではないかとの危機感も募っている。
 業界だけでなく稚内市、振興局など官庁も今の事態に歯止めを掛けねばと必死なのだが人口減少同様、抜本的対策を打てていないというのが実状か。
 沖底船関連従事者を主体に1973年頃(昭和48年頃)5万8千人台だった人口だが、この50年間で約3万人と半分ほどまで減ってしまった。
 大きな産業が衰退すれば人は流出するのは世の理とは言え何もこれと言った解決策を講じてこなかった行政の罪は重い。不作為だ。
 マチの勢力を維持するのが難しくなった昨今、行政と民間共同の打開策求めたい。