時の話題 「官庁病」

 標題は筆者の造語である。何かと言えば記者の官庁取材で上げ膳据え膳に記事ネタが用意されていることから何の苦労も無しに仕事をしてしまう戒めの言葉である。
 稚内市や振興局など官庁は幾らかでも市民にPRしようと自らが主催したり関連する事柄について詳しく書き留めたペーパーが配られる。筆者も記者現役の頃にはよく利用したものだった。
 この大して苦労せず記事にできる官庁取材について〝官庁病〟と命名したもので、小社では記者2人に対し諭している。
 官庁病の恐さは対象を取材し記事にするという記者の仕事を「苦労しなくても(記者が)務まるんだ」と容易に考えてしまうことで、薄い皮を一枚々々重ね一人前の記者に成長して行く過程が無くなってしまうからである。
 若いうちはそれでもいいが、年を取り、社説やコラムを書く役になると実力が備わっていないものだから必然書けないわけである。
 この容易さを馬齢を重ねる(むだに年を取る)という事になるのだが、これはどの職業にも言えることなので心に留め置くのが宜しいようである。
 話を前に戻し官庁病が根づいてしまうと役所の記事だけを頼りにし色々な業界の人達との交わりを否定しがちになるので記者として片端になり紙面も役所記事で埋まってしまうという負の連鎖も生じてしまう。
 一時5人もいた我が社の記者は今2人(ほかに筆者も補助でいる)まで減ってしまい記事集めの業務の遅滞が懸念される。志ある方の参画を請うている。

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